健康経営はメンタルヘルス対策と健康管理の両面からアプローチ!

今年2回目の健康経営銘柄の発表、健康経営アドバイザーの創設など、健康経営への取り組みが活発になってきています。
健康経営というと従業員の健康管理がまず思い浮かびますが、現在それと同じくらい重要視されているのがメンタルヘルス対策です。
身体だけでなくメンタル面のケアも不可欠となっており、その両面から健康経営を進めていくことが大切なのです。
今回は、健康経営のメンタルヘルス対策と健康管理について、それぞれのすすめ方について解説します。
Contents
従業員の健康管理は健康経営の基本
健康管理の一番の基本は、社員の健康管理にあります。
(1) 社員の健康状態を把握する
まずは社員に定期健康診断の受診を徹底し、その結果から社員の健康状態を把握します。
そして自社の健康課題を特定して、社内で共有します。
(2) 社員への情報発信
健康づくりの大切さについて社員に情報を発信します。
(3) 健康づくりの推進
(1)で特定した健康課題を踏まえて、社内に病気リスクの原因となっている環境がないか確認しましょう。
そのような環境が見つかった場合は、改善策を話し合い改善に努めます。
また、健康課題に沿った具体的な健康づくり案を検討し、実施します。(ウォーキング・食事指導・健康セミナーなど)
(4)健康づくりの効果検証・改善活動
(3)で実施した健康づくりの社員の参加状況や実施状況を把握します。その上で効果を検証し、改善策を検討して実施します。
メンタルヘルス対策が重要な理由とストレスチェック制度
厚生労働省の「平成24年度労働者健康状況調査」によれば、仕事や職業生活で不安・悩み・ストレスを感じている人の割合は60.9%となっています。
全体の半数以上が、仕事や職場に対して何らかのストレスを感じているということですね。
そして、過去1年間にメンタルヘルス不調により連続1ヶ月以上休業、または退職した人のいる事業所の割合は8.1%となっています。
その他にも、精神疾患により医療機関にかかる患者数は増加傾向にあり、また、死亡順位別の死亡数の8位に自殺があがっているという調査結果もあります。
このような結果をみると、ストレスやメンタルヘルス不調は企業経営にとってリスク要因であることがわかります。
そのため、健康経営を進めるにあたり、身体面だけでなくメンタルヘルス対策が不可欠となるのです。
2015年12月から労働安全衛生法が改正され、従業員数が50人以上の事業所では毎年1回「ストレスチェック」を行うことが義務付けられました。
これはストレスに関する質問票に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。
自分のストレスの状態を知ることにより、うつ病などのメンタルヘルス不調を未然に防ぐことが目的となっています。
メンタルヘルス対策は予防と早期発見・早期対応が大切!
(1)予防対策
- 社内のコミュニケーションを活発化し、気軽に相談できる体制づくり
- メンタルヘルスの教育・研修
- 長時間労働者への面談や生活習慣の改善指導の実施
(2)早期発見
- ストレスチェックの実施
- 社員の勤怠チェック
(3)早期対応
- ストレスチェックの結果からストレスの程度を評価し、高ストレス者には医師の面接指導を行う
- 外部専門機関の活用
- 不調者には受容と共感を示すようにし、間違った対応をしない
(4)休職中の対応
- 本人との連絡窓口を一本化する
- 家族の協力を仰ぐ
(5)復職支援
- 職場復帰支援プログラムを作成
- 最初は簡単な作業などで復帰訓練を行う
- 特別扱いせず、復帰先の社員たちにも注意しておく
健康経営への第一歩として、健康診断の受診率向上とストレスチェックの実施を図ることが大切です。
その際、社員の個人情報の取り扱いについては慎重に対応する必要があります。
特に、メンタルヘルス対策ではその性質上、個人情報保護に十分に注意しましょう。