中小企業の健康経営のカギを握る!健康経営アドバイザーとは?

近年、健康経営に注目が集まっており、健康経営に積極的に取り組んでいる大企業が増えてきています。
しかし、中小企業における健康経営の取り組みはまだまだ少ないのが現状です。
そこで、政府は中小企業における健康経営の促進を図ることを目的として、健康経営アドバイザー制度の創設を発表しました。
今回は中小企業の健康経営にとって重要な役割を担う、健康経営アドバイザーについてご紹介します。
Contents
健康経営への政府の取り組み
健康経営とは、企業が従業員の健康管理を経営的視点から捉え、戦略的に健康づくりを実践する経営スタイルです。
従業員の健康を経営資源と位置づけ、企業が積極的に健康経営に取り組むことによって、企業の生産性や業績の向上につながるというものです。
健康経営は疾病手当や健康保険など企業の負担の減少、事故や労災発生を予防、企業イメージの向上など、企業にとって多くのメリットがあります。
健康経営への取り組みを推進していくために、経済産業省は東京証券取引所と共同で、「健康経営銘柄」として2015年に22社を、2016年には25社を選定しました。
これは、健康経営に取り組んでいる上場企業の中から特に優れた一業種一社を「健康経営銘柄」として選定し、投資家に魅力ある企業として示すというものです。
健康経営銘柄に選ばれた企業は、長期的な企業価値の向上が見込めるという点で投資家にとっても魅力的といえるでしょう。
また企業ブランド・企業イメージも向上するため、採用活動においてもプラスに働くという利点もあります。
現在、このような健康経営への取り組みは大企業が中心となって行われています。
しかし、日本の全企業のうち中小企業が占める割合は99%以上であることからも、これからは中小企業における健康経営への取り組みが求められます。
中小企業における健康経営の実態は?
中小企業における健康経営の取り組み状況を調査するため、経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課は「健康経営の啓発と中小企業の健康投資増進に向けた実態調査」を行いました。
これによると、次のようなことが明らかになりました。
健康経営の認知度
「健康vjk経営という言葉をご存知ですか?」の質問に対し、「聞いたことがない」が58.1%、「内容は知らないが聞いたことはある」が28.1%という結果でした。
「内容を知っている」が9.6%、「内容を知っており取り組んでいる」が3.7%と内容を知っている企業は全体の1割程度であり、健康経営に対する認知度が非常に低いことがわかります。
健康経営の実施状況
「健康経営を実践済み、または予定している」と答えた企業は24.9%、「健康経営をしたい」が52.2%となっています。
これを見ると半数以上が健康経営に関心を持ってはいるが、実施に至っていないという現状がわかります。
健康経営を実践する上での課題
「指標の不足」「ノウハウの不足」「社内人員の不足」「予算の不足」「社外専門家の不足」などが上がっています。
健康経営アドバイザーの役割とは?
政府は中小企業における実態調査を踏まえ、健康経営アドバイザー制度を創設しました。
健康経営アドバイザーとは、社会保険労務士や中小企業診断士を対象に所定の講義を行い、東京商工会議所における試験の合格者に与えられる資格です。
健康経営アドバイザーの資格を取得後は中小企業に継続的に派遣し、実践のためのアドバイスをしていきます。
中小企業では健康経営をしたいと思いながらも、情報・資金・人員が不足しているため、健康経営の実践が遅れています。
そこで健康経営ハンドブックの策定とともに、中小企業に健康経営アドバイザーを派遣し、経営者への情報・ノウハウの提供や、制度面の整備を進めていこうというものです。
今後の健康経営アドバイザー関連の活動としては、次のような予定があります。
・都内での健康経営講座の一般募集開始
・アドバイザー実務研修の実施・登録
・全国展開に向けて各地域における運用体制の構築
・健康経営アドバイザー中級の検討
これから健康経営への取り組みがますます活発化していく中、中小企業における普及促進が重要な課題となるでしょう。
その実現のためにも、健康経営アドバイザー制度の構築と全国的な展開が期待されます。